HEALTH JOURNAL

MRIでヘルニアが見つかった。本当にそれが腰痛の原因?

画像に写る変化と、実際に感じている痛みは同じとは限りません

執筆:YOKOHAMA BASE編集部
監修:宮城 智哉(理学療法士)

健康について専門職へ相談する人

この記事でわかること

腰痛がない人にも椎間板の膨隆・突出が見つかる理由
MRI所見と痛みが一致しているかを考えるポイント
画像を必要以上に怖がらず、症状と身体所見を合わせて見る方法

腰が痛くない人にも「ヘルニア」は見つかる

『MRIを撮ったら、椎間板ヘルニアが見つかりました』。そう聞けば、『やっぱり、このヘルニアが腰痛の原因なんだ』と思ってしまうかもしれません。しかし、MRIでヘルニアが見つかったことと、そのヘルニアが今の痛みを引き起こしていることは、同じ意味ではありません。

1994年、Jensenらは腰痛のない98人に腰椎MRIを撮影しました。その結果、腰痛のない人でも52%に椎間板膨隆、27%に椎間板突出が確認されました。MRI上で椎間板が膨らんだり突出したりしていても、腰が痛くない人はいるのです。

さらに大規模な研究ではどうだった?

2015年にBrinjikjiらが発表したシステマティックレビューでは、症状がない3,110人のCT・MRI所見が解析されました。症状のない20歳でも、椎間板変性37%、椎間板膨隆30%、椎間板突出29%に画像所見が認められました。

80歳になると、椎間板変性96%、椎間板膨隆84%、椎間板突出43%と推定されました。MRIで見つかる『異常』の一部は、必ずしも病気そのものではなく、加齢に伴って多くの人に現れる変化でもあります。

そのため、『MRIで変形している』から『ここが痛みの原因だ』と、すぐに結論づけることはできません。

では、MRIは意味がないのでしょうか?

そういう意味ではありません。別のメタ解析では、50歳以下の成人について腰痛がある人とない人のMRI所見を比較したところ、椎間板膨隆、突出、脱出、変性、Modic type 1変化などは、腰痛のある人で多く認められました。

大切なのは、『MRI所見は痛みとまったく関係ない』でも、『画像に異常がある=必ず原因』でもないということです。

大切なのは「画像と症状が一致しているか」

MRIでヘルニアが見つかったときは、画像だけでなく、実際に出ている症状や身体所見と照らし合わせます。どこに痛みがあるのか、脚に痛みやしびれがあるのか、症状の範囲はどこか、筋力低下・感覚異常・反射の変化があるのかを確認します。

そして、MRIで確認された病変の位置と、症状や神経学的所見が一致しているのかを総合して考えます。画像は診断の重要な材料の一つですが、画像だけで身体の状態すべてがわかるわけではありません。

MRIの異常は、未来の腰痛まで予測できる?

腰痛のない人にMRIを撮影し、その後7年間追跡した研究では、最初のMRI所見から、その後の腰痛の発症や腰痛が続く期間を予測することはできませんでした。最初のMRIが正常だった人が、後から腰痛を発症するケースもありました。

つまり、『今MRIに異常があるから、これから腰痛になる』『画像が悪いから、ずっと痛みが続く』と単純には言えません。

「ヘルニアがあります」と言われても、必要以上に怖がらないでください

画像上の変化は、痛みのない人にも珍しくありません。特に椎間板変性や膨隆などは、年齢とともに非常に一般的になります。『自分の腰は壊れている』『ヘルニアがあるから動いてはいけない』『もう元には戻らない』と、画像だけを見て判断する必要はありません。

一方で、『ヘルニアなんて誰にでもあるから放っておけばいい』という話でもありません。症状と画像所見が一致し、神経への影響が疑われる場合などには、MRIは非常に重要な情報になります。

「画像」ではなく「あなた自身」を見る

腰痛を考えるときに重要なのは、MRIという一枚の画像だけを見ることではありません。画像・症状・身体所見・経過などを合わせて、その人自身を見ることです。MRIにヘルニアがあっても、それだけでは今感じている腰痛の原因とは断定できません。逆にMRIで大きな異常が見つからなくても、その人が感じている痛みが存在しないことにはなりません。

YOKOHAMA BASEでは、『画像のどこが悪いのか?』だけではなく、『今、この身体で何が起きているのか?』という視点を大切にしています。MRIに写っているものが、そのまま『痛み』ではありません。

まとめ

椎間板の膨隆・突出などは、腰痛のない人にも見つかります
画像所見は年齢とともに増えますが、画像だけで痛みの原因や将来の経過を決められません
MRI所見が痛みに関係することもあり、症状・神経所見・病変の位置との一致を確認します
画像を必要以上に怖がらず、画像・症状・身体所見・経過を合わせて考えることが大切です

免責事項

本記事は一般的な健康情報の提供を目的としており、個別の診断や治療を行うものではありません。脚の著しい筋力低下、排尿・排便障害、会陰部の感覚異常などがある場合には、速やかに医療機関を受診してください。

よくある質問

MRIでヘルニアが見つかったら、必ず腰痛の原因ですか?

いいえ。腰痛のない人にも椎間板の膨隆や突出は見つかります。症状、神経学的所見、病変の位置との一致を含めて総合的に判断します。

ヘルニアがある場合、動いてはいけませんか?

画像だけを理由に一律に動きを止める必要はありません。ただし、症状や医師の指示に応じて活動量を調整し、神経症状がある場合は医療機関へ相談してください。

どんな症状なら早く受診すべきですか?

脚の著しい筋力低下、排尿・排便障害、会陰部の感覚異常などがある場合は、速やかに医療機関を受診してください。

参考文献

  1. Jensen MC, Brant-Zawadzki MN, Obuchowski N, Modic MT, Malkasian D, Ross JS. Magnetic resonance imaging of the lumbar spine in people without back pain. N Engl J Med. 1994;331(2):69-73.
  2. Brinjikji W, Luetmer PH, Comstock B, et al. Systematic literature review of imaging features of spinal degeneration in asymptomatic populations. AJNR Am J Neuroradiol. 2015;36(4):811-816.
  3. Brinjikji W, Diehn FE, Jarvik JG, et al. MRI findings of disc degeneration are more prevalent in adults with low back pain than in asymptomatic controls: a systematic review and meta-analysis. AJNR Am J Neuroradiol. 2015;36(12):2394-2399.
  4. Borenstein DG, O'Mara JW Jr, Boden SD, et al. The value of magnetic resonance imaging of the lumbar spine to predict low-back pain in asymptomatic subjects: a seven-year follow-up study. J Bone Joint Surg Am. 2001;83(9):1306-1311.