この記事でわかること
炎症は「悪いもの」ではありません
「炎症」と聞くと、
などを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
確かにこれらは炎症です。
しかし、炎症は本来、私たちの体を守るために備わっている正常な防御反応です。
例えば細菌やウイルスが体内へ侵入したとき、あるいはケガによって組織が傷ついたとき、免疫細胞が集まり、異物を排除したり傷ついた組織を修復したりします。
この反応があるからこそ、私たちの体は感染症やケガから回復できます。
つまり、炎症そのものが悪いわけではありません。
問題になるのは、炎症が必要以上に長く続いてしまうことです。
「急性炎症」と「慢性炎症」は何が違うのでしょうか?
炎症は大きく分けると、急性炎症と慢性炎症の2つに分けられます。
急性炎症は、体が正常に治っていくために必要な反応です。
一方で慢性炎症は、本人も気付かないほど弱い炎症が、長期間続いてしまう状態を指します。
そのため海外ではSilent inflammation(静かな炎症)とも表現されることがあります。
なぜ慢性炎症が起こるのでしょうか?
慢性炎症は、一つの原因だけで起こるものではありません。
現在までの研究では、さまざまな生活習慣や身体の状態が関係すると考えられています。
例えば
などです。
もちろん、これらがあるから必ず慢性炎症になるわけではありません。
しかし、多くの研究でこれらとの関連が報告されています。
なぜ今、慢性炎症が注目されているのでしょうか?
近年、医学研究では慢性炎症が様々な慢性疾患と関連している可能性が報告されています。
例えば
などです。
これらの病気は、それぞれ原因が異なります。
しかし共通して、炎症性サイトカインや免疫反応が関与している可能性が示されています。
一方で、病気によって炎症の関与する程度は異なり、「慢性炎症だけが原因」と言えるわけではありません。
現在も世界中で研究が進められている分野です。
慢性炎症は痛みとも関係があるのでしょうか?
近年では、慢性炎症が神経の働きや痛みの感じ方にも影響を与える可能性が報告されています。
しかし、腰痛や肩こりなどは、筋肉、関節、神経、生活習慣、心理社会的要因など、多くの要素が重なって起こります。
そのため、「慢性炎症だけで痛みが起こる」あるいは「慢性炎症を改善すればすべての痛みが治る」ということは、現在の医学では言えません。
重要なのは、身体全体を総合的に評価することです。
今日からできること
慢性炎症を完全に防ぐ方法は分かっていません。
しかし、現在の研究では、次のような生活習慣が健康維持につながる可能性が示されています。
どれも特別な健康法ではありません。
毎日の積み重ねが、長い目で見た健康づくりにつながると考えられています。
まとめ
この記事のポイント
病気は、ある日突然始まるものばかりではありません。
自覚症状がない段階から、体の中では少しずつ変化が積み重なっていることがあります。
だからこそ、「病気になってから治す」だけではなく、「病気になる前から健康を育てる」という視点が大切です。
YOKOHAMA BASEでは、科学的根拠に基づいた健康情報を通じて、地域の皆さまが自分自身やご家族の健康について考えるきっかけを届けていきます。
免責事項
本記事は一般的な健康情報の提供を目的として作成しています。個別の診断・治療・医療上の判断を目的とするものではありません。症状がある場合や健康上の不安がある場合は、医師その他の医療専門職へご相談ください。
参考文献
- Furman D, et al. Chronic inflammation in the etiology of disease across the life span. Nature Medicine. 2019.
- Cifuentes M, et al. Low-Grade Chronic Inflammation: A Shared Mechanism for Chronic Diseases. Physiology. 2025.
- World Health Organization. Noncommunicable diseases.
- Calder PC, et al. Optimal nutritional status for a well-functioning immune system. Nutrients. 2020.

