「最近、頭痛がよく起こる」「首や肩を揉んでも、またすぐ頭が痛くなる」——頭痛は身近な症状ですが、その背景は一つではありません。
片頭痛や緊張型頭痛など医学的によく知られている頭痛に加え、首や肩の筋肉、姿勢、睡眠、ストレスなど、複数の要素が重なっていることがあります。この記事では、頭痛を「頭だけの問題」と決めつけずに整理する視点を紹介します。
まず大切なのは「危険な頭痛」を見逃さないこと
最初から「肩こりが原因だろう」と決めつけてはいけません。くも膜下出血、脳出血、髄膜炎など、緊急性の高い病気が隠れている場合があるためです。

こうした場合は、整体などで原因を探すよりも、まず医療機関での評価が優先されます。危険な病気ではないことを確認したうえで、身体の状態を詳しく考えていくことが大切です。
頭痛=頭そのものの問題、とは限らない
代表的な頭痛には片頭痛や緊張型頭痛があります。また、首の問題と関連して起こる頸性頭痛と呼ばれるものもあります。特に緊張型頭痛では、頭や首の周囲に圧痛が認められることがあります。
だからこそ、「頭が痛いから頭だけを見る」のではなく、首・肩・胸郭などを含めて身体を評価することが役立つ場合があります。
痛い場所と、負担をつくる場所は同じとは限らない
後頭部周辺の後頭下筋群や、首・肩周辺の筋肉、咀嚼筋など、頭頸部周囲の組織が症状に関係することがあります。では、なぜその首に負担がかかっているのでしょうか。

胸郭の動きが小さく、背中が丸まった状態で長時間過ごすと、前を見るために頭や首の位置を調整することがあります。胸郭・背骨から肩甲帯、頸部、頭部へと、離れた部位の状態が首周辺の負担へつながる可能性があります。
筋肉や筋膜では、ある場所への刺激によって別の場所に痛みを感じる関連痛が知られています。そのため、首や肩だけでなく、胸郭の動き、姿勢、呼吸、肩甲帯の状態を確認することがあります。
内臓やホルモン、脳脊髄液も関係することがある
頭痛は筋肉や骨格だけで説明できるものではありません。女性では月経周期に関連して片頭痛が起こったり悪化したりすることがあります。また、全身状態や疾患によって、頭痛が二次的に生じる場合もあります。
脳脊髄液が漏れるなどして髄液圧が低下すると、「横になると楽だが、起きていると頭痛が強くなる」起立性の頭痛が起こることがあります。一方、「背骨がずれたから脳脊髄液の循環が悪くなり、一般的な頭痛が起きる」と単純に説明できるほど、医学的根拠が確立しているわけではありません。確認された病態と、身体構造から考えられる仮説は分けて考える必要があります。
お風呂に入ると頭痛が楽になる人は?

温めたり、首肩を軽く動かしたりすることで頭痛が楽になるなら、筋肉の緊張など筋骨格系の要素が関係している可能性を考える材料になります。ただし、それだけで筋肉が原因と診断することはできません。片頭痛では入浴や運動で症状が強くなる人もいます。
症状がどのように変化するかは、原因を考えるための重要な情報です。
頭痛という結果だけを追いかけない
頭痛があるから頭を揉む、首が硬いから首を揉む。それだけでは、何度も繰り返してしまう人もいます。大切なのは、「なぜ、この人に、この頭痛が起きているのか」という視点です。
頭痛であっても、見るべきものは頭だけではありません。一つの原因に決めつけず、身体全体と生活背景から、その人に何が起きているのかを一つずつ整理していくことが重要です。
免責事項
本記事は一般的な健康情報の提供を目的として作成しています。個別の診断・治療・医療上の判断を目的とするものではありません。突然の激しい頭痛や神経症状などがある場合は、直ちに医療機関へご相談ください。
参考文献
- International Headache Society. The International Classification of Headache Disorders, 3rd edition (ICHD-3).
- 日本神経学会・日本頭痛学会・日本脳卒中学会. 頭痛の診療ガイドライン2021.

