HEALTH JOURNAL

慢性炎症につながりやすい生活習慣と食事とは?

〜「この食品が悪い」と決めつけず、毎日のパターンから考える〜

執筆:YOKOHAMA BASE編集部YOKOHAMA BASE
監修:宮城 智哉理学療法士)/最終確認 2026年7月27日

朝食を前にランニングシューズを結ぶ女性と、整えられた寝室

この記事でわかること

慢性炎症と関連が報告されている生活習慣
「炎症を起こす食品」という表現に注意が必要な理由
炎症と関連しやすい食事パターン
今日から無理なく見直せるポイント

前回のおさらい:慢性炎症は「静かに続く反応」です

炎症は本来、感染やけがから体を守り、傷ついた組織を修復するために必要な反応です。

一方、弱い炎症反応が長期間続く慢性炎症は、2型糖尿病や心血管疾患など、さまざまな慢性疾患と関連することが研究されています。

研究では、主に血液中のCRP(C反応性たんぱく)やIL-6などを炎症の指標として調べます。ただし、数値は感染症、けが、持病、服薬、年齢などにも影響されます。生活習慣だけを原因と決めることはできません。

どんな生活習慣が慢性炎症と関係するのでしょうか?

慢性炎症は、一つの習慣だけで起こるものではありません。研究では、次のような要素との関連が報告されています。

睡眠不足が何日も続く
座っている時間が長く、体を動かす機会が少ない
喫煙する、または受動喫煙にさらされる
心理的ストレスが強い状態が続く
エネルギーの摂取過多が続き、内臓脂肪が増える
口腔ケアが不十分で、歯周病などの炎症が続く

例えば、複数夜にわたる睡眠制限の実験をまとめた研究では、IL-6やCRPが上昇しました。また、運動介入をまとめた研究では、定期的な運動によりCRPが低下する傾向が示されています。

体脂肪、とくに内臓脂肪が増えると、脂肪組織の細胞と免疫細胞の働きが変化し、炎症性物質が生じやすくなることも分かってきました。ただし、体格だけで個人の炎症状態や健康状態を判断することはできません。

「炎症を起こす食品」は一つに決められません

インターネットでは、砂糖、油、小麦、乳製品など、特定の食品を「炎症の原因」と断定する情報が見られます。しかし、アレルギーや医学的な不耐症などがない一般の人について、一つの食品が慢性炎症を必ず起こすと断定できる根拠は十分ではありません。

食事の研究では、食品単体よりも、何をどのくらい、どのような組み合わせで、どれだけ長く食べているかという「食事パターン」で評価することが重要です。

また、食事と炎症マーカーの関連を示す研究には観察研究も多くあります。関連があっても、食事が直接の原因とは限らず、運動、睡眠、喫煙、所得、持病など別の要因が影響している可能性があります。

炎症と関連しやすいと考えられている食事パターン

研究では、次のような食品に偏り、野菜や全粒穀物などが少ない食事パターンは、CRPなどの炎症マーカーが高いことと関連する傾向が報告されています。

砂糖を多く含む飲料や菓子を頻繁にとる
精製された穀類に偏り、食物繊維が少ない
加工肉や脂肪の多い肉を頻繁にとる
揚げ物やスナックなど、エネルギー密度の高い食品に偏る
超加工食品の割合が高く、素材に近い食品が少ない

ただし、これらを一度食べただけで慢性炎症になるわけではありません。量、頻度、食事全体のバランス、体の状態によって影響は異なります。超加工食品と炎症マーカーの研究も、多くは観察研究であり、因果関係はまだ確定していません。

どんな食事パターンが研究されているのでしょうか?

比較的多く研究されているのは、野菜、果物、豆類、全粒穀物、魚、ナッツ、オリーブ油などを中心とする地中海食に近い食事パターンです。

心血管疾患のリスクが高い人を対象とした無作為化比較試験では、地中海食を続けたグループで複数の炎症マーカーが低下しました。一方、研究対象や食事内容はさまざまで、すべての人に同じ変化が起こるとは限りません。

大切なのは、特別な「抗炎症食品」を探すことではなく、食事全体を整えることです。

毎食または一日の中で野菜を増やす
白いパンや白米の一部を、全粒穀物や雑穀へ置き換える
豆類、魚、卵なども活用し、たんぱく源を偏らせない
間食や甘い飲み物を「禁止」ではなく、回数と量から見直す
加工度の低い食品を選ぶ機会を少しずつ増やす

食事だけでなく、生活全体を整えることが大切です

慢性炎症に関係する要素は互いにつながっています。睡眠不足の日は甘い物や高エネルギーの食事を選びやすくなり、疲労から活動量が落ちることもあります。厳しい食事制限がストレスになり、長続きしない場合もあります。

まずは、次の中から一つだけ選んでみてください。

起床時刻をなるべく一定にする
一日10分、歩く時間を増やす
甘い飲み物を水や無糖のお茶へ一回置き換える
一品だけ野菜、豆、海藻、きのこを足す
喫煙している場合は、医療機関の禁煙支援を利用する

完璧を目指すより、続けられる小さな変化を重ねる方が現実的です。

まとめ

慢性炎症は、特定の食品一つではなく、食事・睡眠・運動・喫煙・ストレス・体脂肪など複数の要素と関連します。
「○○を食べると炎症が起こる」という単純な断定には注意が必要です。
食品単体より、長期的な食事パターンを考えることが大切です。
野菜、果物、豆類、全粒穀物、魚、ナッツなどを含む食事パターンは、炎症マーカーが低いことと関連する研究があります。
小さく続けられる改善を、生活全体の中で積み重ねましょう。

炎症マーカーが高い、体調不良が続く、体重が急に変化したなどの場合は、自己判断で食品を極端に制限せず、医師や管理栄養士などの専門職へ相談してください。

免責事項

本記事は一般的な健康情報の提供を目的として作成しています。個別の診断・治療・医療上の判断を目的とするものではありません。症状がある場合や健康上の不安がある場合は、医師その他の医療専門職へご相談ください。

参考文献

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